2026/7/1(水) 視察研修会 『小菅村の森と人を繋ぎ直す挑戦を学ぶ一日』のご報告

2026/7/1水 『小菅村の森と人を繋ぎ直す挑戦を学ぶ一日』をテーマに、視察研修会を行いましたので、ご報告いたします。





= 視察研修レポート =

午前10:00 道の駅こすげ駐車場には40名の参加者が集合いたしました。受付、開会あいさつ、参加者紹介の後、視察がスタートしました。 今回は、当協議会の会員でもある、㈱リトル・トリー大野さまに、ご案内いただきました。

道の駅こすげ 駐車場にて

はじめに、『小菅の湯』を温めている薪ボイラーを視察しました。

【薪ボイラー】

ボイラー室(右の建物)

ボイラー室前にて説明を受けました。


小菅の湯の支配人であり、薪ボイラーの管理を担っておられる株式会社源(みなもと)の村上様からは、薪の特性や薪ボイラーの仕組み、導入に至る経緯、さらに導入後の運用に関するご経験など、たいへん貴重なお話を伺うことができました。

ボイラー室の様子 : 向かって右と真ん中が薪ボイラー
左側はバックアップ用の灯油ボイラーです。

※ 村上様がご説明くださった薪ボイラーを利用する主な目的3点。
① CO2の削減:灯油ボイラーのみ利用した場合、約200L/日を消費するところ。薪利用により、年間約60,000L分の灯油を代替し、約100トンのCO2削減につながっている。

② 地域内でお金をまわすこと:薪の約95%を村内の森林から調達し、山主・森林組合・木材業者への支払い、薪加工の地域雇用などを通じて、地域内で経済が循環している。

③ 化石燃料よりも安価:
薪ラック1つで灯油100L相当の熱量を得られ、灯油価格(約130円/L)と比較しても、薪購入費(約5,000円)+加工の人件費含めても薪の方が安価で、光熱費削減に寄与している。

※ 課題と運用上のポイント
1. 手間の多さ:3時間ごとの燃料投入、定期的な煤落とし、薪の長期乾燥など、継続には作業を楽しめる姿勢が必要。

2. ノウハウ不足:国内に熱エネルギー利用の知見共有が少なく、村上氏が独自に日本語マニュアルを作成している。

3.    化石燃料価格の影響:灯油が安価だった時代は普及が進まなかったが、現在の価格高騰により薪ボイラーの優位性が高まっている。

※また、村上氏は、海上からの化石燃料輸入の困難さを自身の経験から紹介し、遠い外国から大変な思いをして運んでくる化石燃料。それは決して当たり前に買えるものではないこと。「地域に代替資源があるなら積極的に使うべき」と強調されました。

これらの村上さんのお話を受けて、大野さんは、「村上さんのような方が小菅にいるということ自体が大きな財産であり、バイオマスエネルギーは技術だけではなく”人”が鍵になる」と述べられました。

【蓄熱タンク】
ボイラー室(写真右)で沸かしたお湯は、蓄熱タンク(写真中央・容量14トン)へ送られ、
ここでお湯をストックしている。安定した温度帯を保てる高性能の蓄熱タンクを
設備に組み込むことが、薪ボイラー運用の重要なポイントであるとの説明がありました。

続いて木の駅を視察しました。

【木の駅こすげ】

ここは、昭和期に一定の役割を終え、森林組合が10年以上使用していなかった施設を、
バイオマス事業の拠点として再活用しているとのことでした。

コンクリ床・屋根ありで、原木置場・木材加工・乾燥させるの3点が揃う場所が、
薪ボイラーから800mの距離に確保できたことは、最大の幸運!奇跡とのことでした。

薪の製造は株式会社源が請け負い、小菅の湯の運営と一体となっています。そのため薪を高く売る必要がなくなり、化石燃料削減で浮いた原価を薪製造側に回せる経済循環が成立しやすい構造になっています。結果として、ここで薪を作れば作るほど、小菅の湯の経済性が向上するという、好循環が生まれているとのことでした。

薪割り作業は、3名ほどで担当。現場を支える人材はシニアの熟練者。重機操作や原木の扱いに慣れた人材が多いことは、地方ならではの強みです。また、仕事を楽しんでやっていますというお話が印象的でした。

【簡易製材機 ウッドマイザー】

休眠していたウッドマイザーを修理・復活させて、
村内で材を加工・活用できる仕組みづくりを進めているとのことでした。

まずバイオマスを基盤として、4年間かけて低質材の流通体制を整備し、 現在はA材・B材の加工・活用も広がり、 村内で加工まで行う体制が形成されつつあります。とのことでした。


続いて、森林空間利用です。上記の製材された板は、ここにも活かされていました。
【中組MTB(マウンテンバイク)パーク】

この遊歩道は10年間使われていなかったが、所有者の許可を得て、
間伐→搬出→製材→バンク造成を実施。間伐材を再利用した
マウンテンバイク向けのコースに改修したとのことでした。

間伐材を製材して作った中級車向けバンク
(※カーブの外側が高く斜めになっている傾斜(壁)のこと)

何とここで、素敵なデモンストレーションをご披露いただきました!
【ジャンプライダー野間大介氏によるショータイム】

ここでなんと、カナダ・ニュージーランドで経験を積んだ
ジャンプライダー兼トレイルビルダーの野間大介氏による
走行デモンストレーションをご披露いただきました!

視察のレポートは以上です。大野さんの素晴らしいコーディネートで、木の駅が成立した背景、地域人材の力、薪製造の実務、そしてバイオマス事業の構造的課題まで、現場のリアルを丁寧に見せていただくことができました。また空間利用に関してもショータイムまで設定していただいて、体感することができ、非常に中身の濃い視察となりました。
ご協力くださいましたみなさま、本当にありがとうございました。


さて、おまちかねのランチは、

ザ・ファーイースト・ビア・アドベンチャーにて、
美味しいハンバーガーを頂きました。少し時間が押してしまい
ゆっくりお食事ができなかった方もおられたかもしれませんが、
交流のひとときを含め、少しでも楽しい時間となっていましたら幸いです。


【意見交換会】
午後は、小菅の湯内「けやき」にて
『森林整備、木材利用、空間利用から、山と人をどのように繋ぐのか?』をテーマに、㈱リトル・トリー(小菅村地域林政アドバイザー)大野 航輔 様に、講義をしていただき、㈱源 村上 伸哉 様にも、貴重なお話を伺いました。

当日は、小菅村の舩木村長にご臨席賜り、ご挨拶をいただきました。また、
ディスカッションにもご参加くださり、村長様と地域のみなさまとの距離の近さ、
そして一体感を改めて感じる研修会となりました。

大野様の講義では、小菅村が進める「森林資源を起点とした地域再生モデル」について、薪ボイラー導入を契機とした森林整備・木材流通・空間利用(マウンテンバイク)の三位一体の取り組みが体系的に紹介されました。エネルギー、マテリアル、空間を統合することで、山村の新しい産業構造を生み出す実践事例として高い示唆を与える内容でありました。

また、薪づくりやトレイル整備の“手間”を楽しむ文化や、仲間と支え合う協働の姿が共有
され、地域資源を生かす取り組みの奥行きが示されました。終盤の意見交換会では、森林と暮らしをつなぐ新しい地域モデルの可能性が改めて確認されました。
 時間となり、当協議会会長より参加者・村関係者のみなさまへの深い感謝が述べられ、
会は和やかな雰囲気のまま締めくくられました。 

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この度の研修会につきましては、ご参加くださいました皆様のご協力のおかげで、滞りなく進行し、無事に終了することができました。心より感謝申し上げます。今回の研修で得られた学びが、皆様の今後の取り組みに少しでもお役に立てば幸いに存じます。

なお、あまりにも充実した時間となり、残念ながら集合写真を撮影しそびれてしまいました。また、運営面では行き届かない点もあったかと存じますが、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

最後に、㈱リトル・トリーの大野様には、準備段階から当日のプロデュース・コーディネートに至るまで多大なるご尽力を賜り、学びの深い研修会となりましたこと、改めて御礼申し上げます。 併せて、㈱源・小菅の湯の村上様、MTBの野間様、ファーイーストビアアドベンチャーの黒澤様にもご協力を賜り、心より感謝申し上げます。


視察研修レポートは以上です。


今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


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